駐車場経営にかかる税金はいくら?計算方法や節税対策を解説
駐車場経営を検討する際は、どのくらいの収入が見込めるかということ以外に「税金」についても考えておかなくてはなりません。
駐車場経営では、固定資産税や都市計画税をはじめ、さまざまな税金がかかります。経営をスタートする前に具体的な税金の種類や計算方法を知っておけば、運営計画を立てる際だけでなく節税したいときにも役立つでしょう。
今回は、駐車場経営で必要となる税金の種類と計算方法にくわえて、節税対策のポイントを解説します。
1.駐車場経営で必要となる税金の種類と計算方法
個人が駐車場経営を行う場合、所得税や固定資産税などの税金を支払う必要があります。しかし、駐車場の経営方式によっては所得の分類が異なり、控除額が変化します。そのため、初めて駐車場経営を行う方には、分かりにくい点もあるでしょう。
まずは、駐車場経営で必要となる税金の種類と計算方法を紹介します。
1-1.固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地所有者が支払う義務のある税金です。借りた土地で駐車場経営を行う場合だと固定資産税はかかりませんが、土地を購入する場合は毎年支払う必要があります。
固定資産税の金額は、課税標準額×1.4%で求められます。課税標準額とは、固定資産の評価額のことです。土地の評価額は、毎年市町村から送付される納税通知書から調べられます。
例えば、課税標準額が3,000万円の土地の場合、固定資産税は42万円となります。
なお、駐車場経営のための土地では、「住宅用地の特例」が適用されません。住宅用地の特例とは、アパートをはじめとした居住用の建物がある土地なら、課税標準額が最大1/6に軽減される制度です。駐車場として土地を活用する場合は、住宅用地の条件を満たさず、特例が適用されないため注意しましょう。
1-2.都市計画税
都市計画税とは、毎年1月1日時点で「市街化区域」内の土地を所有している人が支払う税金です。市街化区域は、住宅街や商業施設エリアなど市街化を活性化する地域を指します。都市計画税は固定資産税と一緒に納付するのが一般的です。
都市計画税の金額は、課税標準額×0.3%で求められます。例えば、土地の課税標準額が3,000万円の場合、都市計画税は9万円です。
都市計画税は固定資産税と同様に、住宅用地であれば課税標準額が減額される特例があります。しかし、駐車場に使用する土地は住宅用地ではないため、特例が適用されないと覚えておきましょう。
1-3.個人事業税
事業税とは、事業を行う個人または法人に所得に応じて課せられる税金です。事業税のうち、個人事業主に課せられる税金を「個人事業税」と呼び、駐車場経営者も支払いの対象です。
個人事業税の金額は、所得から各種控除を引いた金額に税率をかけることで計算できます。税率は都道府県によって異なります。
例えば、所得400万円・各種控除290万円・個人事業税の税率3.0%の場合、個人事業税の金額は3万3,000円です。
個人事業税には290万円の事業主控除があり、小規模の駐車場であれば個人事業税が発生しないケースもあります。確定申告の際に所得税を申告している場合には、都道府県から納税通知書が送られてくるため、申告の必要はありません。
1-4.所得税
所得課税とは、駐車場経営によって個人が所得を得たときに発生する税金です。所得とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た駐車場収入から駐車場経営にかかる必要経費を差し引いた金額です。
所得税は、駐車場の経営方式や規模によって異なります。所得税の金額は、所得に税率をかけて所得控除を引いて算出することが可能です。
税率は、所得の金額によって変化します。日本では、所得が高くなるほど税率が高くなるのが特徴です。例えば、駐車場経営で得た所得が400万円の場合は、税率が20%、控除額が42万7,500円になるため、37万2,500円が所得税の金額です。
また、駐車場経営をする場合の所得区分は、「不動産所得」と「事業所得」の2種類に分類されます。所得区分によって控除金額が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
1-5.消費税
消費税とは、商品・製品の販売やサービスの提供に対して課税される税金です。駐車場経営では、消費税がかかるケースとかからないケースがあります。
土地整備をしていない青空駐車場や賃貸に付属している駐車場は、「土地の貸付」となるため非課税です。一方、フェンスや区画の設置など有料駐車場としての使用を目的に土地整備を行った場合は、課税対象となります。
消費税は、課税対象取引額に10.0%かけると算出できます。消費税を負担するのは一般的に駐車場利用者のため、駐車場経営者が負担することはありません。
ただし、課税期間の基準期間で課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税を納税する義務が発生します。
2.駐車場経営における節税対策
駐車場経営にはさまざまな税金がかかりますが、事前に対策を知っておくとある程度節税できます。駐車場運営の中でできる節税方法は以下の通りです。
- アスファルト舗装する
- 一括償却資産制度を活用する
- 住宅用地内で経営を始める
- 青色申告を選択する
それぞれの対策を詳しく解説します。
2-1.アスファルト舗装する
相続した土地で駐車場経営を行う場合、砂利敷きの駐車場ではなくアスファルト舗装した駐車場であれば、相続税を節税可能です。アスファルト舗装した駐車場は、小規模住宅用地の特例の適用対象である「貸付事業用宅地」に分類されます。
アスファルト舗装と砂利舗装の違いは、構築物が建設されたとみなされるかどうかです。アスファルト舗装は、相続税の財産評価の際に構築物が建設されたとみなされるため、特例が適用されます。
小規模住宅用地の特例が適用対象となると、200平方メートルまでの部分に限り土地評価額が50%減額され、税負担を軽くできます。
2-2.一括償却資産制度を活用する
一括償却資産制度を活用すると、固定資産税の節税が可能です。一括償却資産とは、10万円以上20万円未満の減価償却資産を指します。一括償却資産制度は、減価償却資産のすべての費用を3年にわたって計上する方法です。一括償却資産の合計取得金額に対して3分の1の金額を経費計上します。
例えば、1つ15万円の電球を購入し、合計450万円の費用がかかる場合、3年間にわたり1/3ずつ経費計上していくので、1年間の経費は150万円となります。設備の取得費用が年間150万円以下であれば、固定資産税はかかりません。そのため、450万円の設備費用の場合、固定資産税は0円です。
一括償却資産制度をうまく活用すると、通常の計上方法よりも節税効果を期待できます。
2-3.住宅用地内で経営を始める
住宅用地内で駐車場経営をすると、住宅用地の特例が適用される可能性があります。住宅用地とは、マンションや住宅などの住居が建設された土地です。住宅部分だけでなく、同じ敷地にある庭や駐車場部分なども住宅用地に含まれているのが特徴です。
住宅用地の特例が適用されると、固定資産税の減税が見込めます。ただし、駐車場経営を行っている土地が住宅用地かどうかの判断は各市町村が行います。駐車場付き住宅でも家屋の形態によっては、住宅用地の特例が適用されないこともあるため注意が必要です。
2-4.青色確定申告を選択する
駐車場経営の所得申告方法に、青色確定申告を選択すると特別控除が受けられます。青色申告特別控除を受けるためにはいくつかの条件がありますが、最高で65万円の控除が見込めます。
駐車場経営による収益が雑所得に区分される場合は、青色確定申告書の使用が認められず、特別控除を受けられません。また、収益を不動産所得に区分していても、事業的規模と認められない場合には10万円の控除しか受けられません。
さらに、駐車場経営の収益を事業所得として区分しているケースでは、e-Taxを利用して電子申告を行い、仕訳帳や総勘定元帳を電子計算で作成しているという条件があります。条件をすべてクリアすると、65万円の青色申告控除が受けられます。
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まとめ
駐車場経営にかかる税金は、固定資産税・都市計画税・個人事業税・所得税・消費税など多様です。それぞれ駐車場の経営方式や規模、所得などによって金額が異なりますが、何も対策しないと高額な税金を納めなくてはなりません。
これから駐車場経営を行う上で、どのような税金が必要になるのか、具体的にどのくらいの支払いが発生するのかを把握しておけば、経営計画も立てやすくなるでしょう。また、今後必要になる確定申告に備えて、早い段階から節税対策を頭に入れておくことをおすすめします。